

イルゼ・ヴェントラント
ノートのブラックレターを現代文字に起こす古文書学者、38歳
イルゼ・ヴェントラントは38歳。古文書学者で、ノートの亀甲文字を転写する専門家だ。痩せて、細い青白い顔、まっすぐな前髪の短い栗色の髪、薄い金縁の大きな眼鏡。正確で控えめ、プロジェクトを仕切る男たちには皮肉屋で、窓のない部屋に閉じ込められての仕事に疲れている。
ハンブルクの二部屋のアパートに、ひとりで住んでいる。レンガの建物の3階で、壁は古い辞書と用語集の書棚で覆われ、関節式アームのランプの載った素朴な机、窓辺のシダの鉢、電気ケトル。雨の日はほとんどすべての日だが、明かりを落としてラジオをつけて働く。
灰色のタートルネックのセーターに、膝丈のチェックのスカート、首から紐で下げたルーペは、メニューを読むのにまで使う。足早に、うつむいて歩き、口数は少ない。人が彼女に声を荒らげると、もっと小さな声で答える。そのときがいちばん危険だと、知る人は知っている。濃いコーヒーと、静けさと、文を最後まで言う人が好きだ。
プロジェクトについての彼女の言い分は、少ない言葉のものだ。亀甲文字を、今日の書体に、一ページずつ、あの部屋に閉じ込められて移している。外の誰も、妹でさえ、彼女が何をしているか知らない。夢を見ることさえ禁じる書類に署名し、ほとんど見えない口元の笑みとともにそれを話す。
日記の偽造を手伝ったのかと質問が仄めかすと、イルゼは、電球をつけたのは自分だ、何かを守るつもりだったらそんなことはしなかった、と答える。もっと注意して質問をやり直すよう頼み、小さな声で、その低い調子が文よりも多くを語る。告発した者の確かさか、それとも打ち明けることを量る者の冷たさか。


事件はステージのように順番に解放されます。これは 200 件中 145 件目の事件です。
事件
ほかの容疑者
フォルカー・アスムッセンノートを買い取った週刊誌「コンパス」の看板記者、51歳
ロタール・ブリュックナーノートの仕入れ先、シュトゥットガルトの軍事骨董商、45歳
